【信長の野望20XX二次創作】時には運も味方に
~~~桶狭間~~~
「敵の親玉はこの辺りか……?」
そう言ったのは龍造寺隆信。
特地解放機構に来てからの日は浅いが、めざましい活躍により今回の幽魔討伐に加わることになった。
「そのようでございますな」
センサーの反応を確認し、その言葉に直江兼続が応える。
機構に来て間もない頃は猪突猛進のような戦い方をしていたが、今は先頭に立ち、盾として隊を支えることが多い。
部隊は辺りを警戒しながら先へと進んでいく。
「もしやあれが親玉ではないでしょうか?」
今川氏輝が少し遠くにある怪しげな影を見て言う。
いつもは双眼鏡を使い、敵の位置を把握して部隊に伝えることが多いが、双眼鏡を点検に出しているため今は持っていない。
「そろそろ攻撃態勢を整えておきましょうか」
厚みのある本を閉じ、阿菊御料人が言った。
幾多もの親玉を現代兵器で葬り去ってきたその活躍は機構内でも評価高く、頼れる人として慕われている。
親玉へと近づくにつれて辺りの邪気が強まる。それと共にセンサーの反応も活発になっていく。
「グオオオオオオ!」
親玉と思しき幽魔が近づいてくる何かを見て雄叫びをあげる。
その瞬間、また邪気が一段と強くなった。
「見つけました。顔が二つもある者とその後ろに髑髏ですか。しかし、髑髏の方は親玉ではなさそうです」
驚くことも無く淡々と仙桃院は言う。
機構の中でも一番と言って良いくらい肝が据わっている。機構内で起こった些細な揉め事を拳骨ひとつで終わらせることもあれば、母のように優しく接することもある。
「一筋縄ではいかぬであろうな」
扇子をぱたぱたとさせながら援軍として呼ばれた織田信長が言った。
扇子を閉じたと思いきや、今度は機構から貰った電子メモ帳を手に持ち、何やら書き始めた。
「信長殿それは親玉を倒してからにいたしましょう。これが終わればのんびりとやれましょう」
「……うむ」
仙桃院にそう言われ、信長は懐に電子メモ帳をしまう。
「しかし、どう倒すべきか。下手な事をしたらこちら側が壊滅しかねん」
隆信が、手に装備している爪のような武器を触りながら思慮する。
「まずは現代兵器で様子を見てみましょう」
氏輝が発射準備をしながら攻撃態勢に入るよう促す。
それに皆が賛成する。
「では、わしから発射するぞ」
隆信がパニッシャーX25で発射する。しかし、敵はビクともしない。
「むっ……効いていないか」
「次は某ですな」
次に兼続が89式小銃を発射。それは敵の急所に当たり、髑髏と共に呆気なく散っていった。
「「「「「「え……」」」」」」
皆が声を揃えて拍子抜けしたように言った。
「ふっ……」
「親玉としては情けないな……」
「これも勝ち方の一つですね」
「倒せたので良しといたしましょう。おかげで弾も節約できました」
「兼続、ようやりました」
「以前にもこんな事をした覚えがありまする……」
そんな事を言っているうちに、辺りを漂っていた邪気はみるみるうちに弱くなっていき、穏やかな環境に戻った。
この地に蔓延る幽魔が全ていなくなった証でもある。
「それでは、機構に戻るといたしましょう」
兼続がそう言い、桶狭間の地を後にする。
~~~完~~~